ろぽん日和

気ままに雑記ブログ

感動を呼びこむ音楽漫画5選~人生を織り成す物語~

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 ろぽんでございます。

 今回は漫画を取りあげさせてもらいます。

 今まで読んだことのある音楽漫画の中でも、登場人物の人生や生き様が音楽で表現されている漫画を選ばせて頂きました。多くの読者を感動させる力を持っている漫画だと思うので紹介させて頂きますね。

 

 

 

『男同士の友情が切なく恋模様も描かれる』坂道のアポロン

 1966年長崎県佐世保を舞台に当時の空気を見事に描く、青春ジャズ漫画です。

 金持ちの父親の仕事の都合で佐世保へ引っ越した秀才の薫は高校にも馴染めず、鬱屈とした日々を過ごします。そんな中、屋上で学校一番の不良と評判の貧乏な千太郎と遭遇する。金持ちで秀才と貧乏で不良というまったく性質の違う二人がジャズで繋がっていきます。

 薫はピアノを。

 千太郎はドラムを。

 千太郎の幼馴染である律子との恋愛をからめながら、お互いの人生に対する息苦しさを描き、それがジャズにのって昇華されていきます。

 物語の行きつく先はぜひ、漫画を手にとって確認して頂きたいのですが、とにかく心理描写が丁寧で心を打ちます。

 この作品はアニメ化、映画化もされており、特にアニメに関してはノイタミナ枠で完成度が高く、ジャズ描写に力が入っており、ぬるぬる動きます。音楽も菅野よう子が担当しており、OPはYUKI、EDは秦基博という豪華布陣です。

 

 

 

 

『心が痛く切ない、けれどその胸のうちは温かい』四月は君の嘘

 幼少期から音楽コンクール優勝を総なめにしてきた天才少年ピアニスト有馬公正。今は亡き母の亡霊という『ピアノの音が聞こえない』傷を抱え、中学生になった今ではピアノから遠ざかった一少年。その有馬を心配する女子ソフトボール部に所属する幼馴染の沢部椿とサッカー部部長で女子にもてる渡亮太。停滞する時間の中で、ヴァイオリニスト宮園かをりと運命的出会いを果たします。

 ピアノへと向かう絶望の中、幾度も心を折りそうになりながら、かをりという存在が力強く音楽の世界への回帰へと導いてくれます。そんなかをりに恋心を抱きますが、かをりの想い人は渡で、幼馴染の椿は有馬への恋心に気づいていきます。複雑な恋模様を描きながら、朗らかでどこかミステリアスなかをりの秘密が解き明かされていく。

 その中で有馬がピアニストとして音楽を取り戻し、悲壮なほどにその想いを音色に表現していく。どこか切なくノスタルジックな物語で、最後まで読むと心にとても温かく切ないものを残す良作です。

 こちらの作品もアニメ化、映画化されています。アニメは坂道のアポロンと同様、ノイタミナ枠で完成度が高く、漫画の最後までをその雰囲気をしっかりと描き切っています。OPとEDも力が入っており、しっかりと作品世界を表現されています。

 

 

 

 

 『とにかく熱い!生き様を音にのせて人生を往く』ブルージャイアント

 仙台に住む誰に対しても実直なバスケ部に所属する宮本大。中学のある日、はじめてライブハウスで目にしたジャズに雷に打たれたような衝撃を受けます。『世界一のサックスプレーヤー』になるというおおよそ子どもが持つような理想を本気で自分自身に課して、高校三年生になった大は毎日、河原でサックスを吹きます。それこそ雨の日も雪の日も、唇が剥けて血が滲もうと。

 自らの可能性を心から信じ、その思いに行動で殉じています。

 作中、大がサックスを吹く場面では、だからこそ音の大きさや、息苦しさ、「俺はここにいるぞ」という存在感の大きさを感じます。

 主人公以外の登場人物も魅力的で、大の兄がサックスを大に買い与えるシーンに心がジーンとします。こんな兄弟関係、兄貴に対して全幅の信頼を寄せてちまうに違いない。

 色々な事が簡単には進まず、困難が続くし、高校を卒業して、東京でバンドを組んでも貧乏と障害が続きますが、その中でもジャズに、自分の可能性に、殉じていく姿は胸を打ちます。とにかく演奏シーンの熱さはピカ一です。

 それぞれのキャラクターの生き様が演奏の激しさに表現されています。

 ちなみにブルージャイアントは完結されており、続編のドイツを舞台としたブルージャイアントシュプリームを連載中です。

 

 

 

『シュールな人々が音楽の中で人生を躍らせる』のだめカンタービレ

 天才だけど自由きまますぎるピアニストのだめの奇行に振り回される、天才だけど弱虫で自信家、飛行機に対してトラウマをもつ千秋が織り成すコメディー音楽漫画。登場するキャラクターがみんなコミカルで笑いを誘います。

 それだけで終わらずのだめも千秋も成長していき、まわりの登場人物もそれぞれの人生を歩んでいきます。成長に伴う障害を重くは描かず、どこかポップに表現されていて、とても読後感のいい作品です。

 のだめと千秋の関係にやきもきされたり、音楽に対する向き合い方の変化に感動したり、色々な読み応えがあります。 

 今回、紹介する中で断トツで知名度の高い作品ですね。アニメ化、ドラマ化、映画化がされており、広く一般の視聴者にも行き届いた、世代、性別の幅が一番広い作品ではないでしょうか。

 音楽漫画といえばのだめカンタービレを思い浮かべる人が多いかもしれません。

 それだけエンターテイメント性が高く、魅力的な作品だという事ですね。

 

 

 

 

 『余命一年未満、ギターをかき鳴らすしびれたブルース』シオリエクスペリエンス

 ろくに人に名前を覚えられない地味先こと英語教師、本田紫織。自分の思っている事をろくに人に伝える事ができない。家では兄が音楽で残した多額の借金で父親が苦労しているため、高校時代から好きだったギターに触れない詩織。

 平凡な人生を生きようとする紫織だったが、ひょんなことからジミ・ヘンドリクスに憑りつかれ、三年生を送る会でヘンドリクスに憑依――『Jack in』され派手にギターをかき鳴らしてしまう。

 本当に自分がやりたかったことに気づかされますが、それがきっかけでヘンドリクスから死神に等しい宣告を受ける。

 「27歳が終わるその日まにで伝説を作らなければ死ぬ」

 既に27歳の誕生日を迎えた紫織はそこから苦労して軽音楽部を立ち上げ、山場での演奏で土壇場をひっくり返していくのですが、そのシーンがしびれます。

 まさにブルース『魂の叫び』です。

 絵の臨場感もたまらなくて必見です。

 この作品は他の紹介した漫画の中で一番、知名度が低い。

 しかしその潜在的な面白さは他のメジャー作品にひけをとらない隠れた名作です。

 今回紹介した漫画のなかで一番すすめたい、これを機会にぜひ一度読んでもらいたい作品ですね。

 

 

最後に

  いかがでしたでしょうか。

 どの作品にもいえる事ですが、漫画でありながら音楽がまさに聞こえてくるような緊迫感がありますし、素晴らしい演奏を聴いた後の感動を再現するような説得力があります。

 どの作品もおすすめですので、ぜひ一度ご覧になって下さい。