【書評】アルケミスト 夢を旅した少年
ろぽんでございます。
ブラジル、リオデジャネイロ生まれのパウロ・コエーリョの著書で、本作でハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞しています。
注記:児童文学のノーベル賞といわれる『国際アンデルセン文学賞』とは別の賞です。
世界的ベストセラー本で夢を諦めず、その夢を生きる事がいかに大切であるかを教えてくれる本です。著者の有名な本としては、『ベロニカは死ぬことにした』があります。
本作では旅をテーマにしていますが、著者も大学を中退して、メキシコ、ペルー、ボリビア、チリなどの中南米諸国を旅したのち、北アフリカを放浪しました。そこで得られたエッセンスも本作には取り入れられてているのかもしれません。
物語の概要
羊飼いの少年サンチャゴは、ア
ンダルシアの平原からエジプト
のピラミッドに向けて旅に出
た。そこに、彼を持つ宝物が隠
されているという夢を信じて、
長い時間を共に過ごした羊たち
を売り、アフリカの砂漠を越え
て少年はピラミッドを目指す。
「何かを強く望めば宇宙のすべ
てが協力して実現するように助
けてくれる」「前兆に従うこと」
少年は錬金術師の導きと旅のさ
まざまな出会いと別れのなか
で、人生の知恵を学んで行く。
羊飼いという自分が決めた選択と、夢の狭間でサンチャゴが何度も迷う事になります。その度に出会う人々に自らの運命の導きを受け、錬金術師にいかに「前兆に従うこと」それを現在で捕まえる事の重要さを説かれます。恋焦がれる少女との出会いも物語を盛り上げていきます。
日常の煩雑さや、今の自分にできる事、過去の財産や技術にまどわされることなく、自分のやりたいこと、夢や未来に向かって、どのように耳を澄ませればいいかが描かれています。
最後に
旅をしながらサンチャゴは迷いながらも自分の夢に近づいていきます。寓話的な話になっているので、ご都合的すぎると思ったり、現代日本人の価値観から離れすぎているという先入観を忘れて読めば得られるものがあると思います。
現代日本人は忙し過ぎる。
旅の中で見いだされる夢のような話に時には耳を傾けてみてもいいかもしれません。
あわせてお読みください。