【書評】その女アレックス
ろぽんでございます。
ピエール・ルメートルのヴェルヴェーン・シリーズの2作目であり、日本での代表作になります。このミステリーがすごいで史上初の6冠に輝いた作品であり、小説としての完成度は文句なしです。
おまえが死ぬのを見たい――男は
そう言ってアレックスを監禁した。
檻に幽閉され、衰弱した彼女は、
死を目前に脱出を図るが……
しかし、ここまでは序章にすぎな
い。孤独な女アレックスの壮絶な
る秘密が明かされるや、物語は大
逆転を繰り返し、最後に待ち受け
る慟哭と驚愕へと突進するのだ。
イギリス推理作家協会賞受賞作。
小説にかかれているあらすじ通り、読み進めていくことで深くはまっていく理解は、とてつもない驚愕と慟哭に彩られ、ミステリーならではの緻密に紐解かれる快感をえて、その全容をあらわしたときのやるせなさといったらないですね。
一人の登場人物の見せ方をこんな風に魅力的に描き出す作者の力量にため息しかでません。
なによりすごいのはこの作品はシリーズ物の2作品目でありながら、日本でヒットしたことですね。前作をまるで知らなくても、全く関係なく、『その女アレックス』の世界観に没入できます。
ヴェル―ヴェンというシリーズ物の主人公が前作にて起こった悲劇で、壮絶なトラウマに今も苦しんでいる描写があるのに、しっかりと物語のピントはアレックスにフォーカスされており、単品作品として、とても魅了的に描かれています。
読後感においては、とても重たいものを残す作品なので、重厚な作品が好きな方におすすめします。また、ミステリー好きにも是非読んでほしい一冊となっています。
一人の人物を多角的に描きだすことによって、これだけの読み応えがある作品になる好例です。また、描写の緻密さも素晴らしく、監禁されている描写や、その後のサスペンスなど、とても迫力のある作品になっています。
エンターテイメントとしても、とても質の高い作品となっていますので、是非、この世界観を楽しんでもらえたらと思います。
あとは、この本を読んだ者同士で語り合ってほしいですね。
そうしたことも楽しめる作品になっていますので。