【書評】know
ろぽんでございます。
今回はコアなファンが多い野崎まど作品です。
『[映]アムリタ』、『舞面真面とお面の女』『死なない生徒殺人事件』『小説家の作り方』、『パーフェクトフレンド』『2』に代表される天才シリーズが有名ですね。
『know』は少々趣が異なりますが、こちらでも天才が登場します。
ただ、物語の行きつく先がぶっ飛んでいてSF小説の代表的なレーベルであるハヤカワ文庫から出版されているのが納得の作品です。
物語の概要
超情報化対策として、人造の脳葉
〈電子葉〉の移植が義務化された
2081年の日本・京都。情報庁で働
く官僚の御野・連レルは、情報素
子のコードのなかに恩師であり現
在は行方不明の研究者、道終・常
イチが残した暗号を発見する。そ
の‘啓示’に誘われた先で待って
いたのは、ひとりの少女だった。
道終の真意もわからぬまま、御野
は「すべてを知る」ため彼女と行
動をともにする。それは、世界が
変わる4日間の始まりだった――
連レルの優秀さを描きながら〈電子葉〉の世界を描いています。〈情報材〉で満たされた世界は〈電子葉〉により、あらゆる事が検索可能な社会になっています。――社会としてその情報開示性や秘匿性にはレベルが存在し、レベル0から6までに分類され、レベル0には一切のプライベートがなく、すべての情報が開示されます。そして〈電子葉〉を開発した常イチが失踪前に残したレベル5を目指せという言葉通り、レベル5に達した連レル。
常イチが残した暗号を解き、十四年間失踪していた恩師と再会します。十四年間の疑問が解消され、大きな謎を残し、少女、道終・知ルを託されます。
四日間だけの保護を願う知ルは〈電子脳〉ではなく〈量子脳〉を持つ天才を超えた怪物です。未来予知にも等しい計算能力を持ち、知ルにとっては〈電子脳〉を持つ人間さえ、一つの情報端末でしかありません。人の心どころか全ての情報を吸い上げる。
この世界で『全知』を許された唯一人の存在です。
その彼女が到達する四日後の新たな世界とは?
物語が伝えてくれるもの
天才が出てくるのは野崎まど作品らしいのですが、天才から引き継がれた世界を変革させる怪物が行き着く先まで、SF世界で描き切っているところが面白いです。いうなれば最後のオチをみせる為に、登場人物たちが存在するといっても過言ではありません。
ハヤカワ文庫の中でも軽快な話だと思うので、一般的にも手に取りやすくおすすめですよ。
SF本です。合わせてお読みください。