M1グランプリ2018はお笑いの未来へと繋がっていく貴重な番組
(画像参考:https://www.m-1gp.com/)
ろぽんでございます。
今回のM1グランプリが終了し、数日が経ちました。
結果としては、新星『霜降り明星』が見事優勝して幕を閉じました。
上沼恵美子の審査員引退報道がでたり、その上沼恵美子を批判した、とろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智の謝罪や、立川志らくのコメントと得点に対する批判記事が掲載されたりしました。
けれど、そういう事は置いておいて、本当に面白いコンテスト番組ですよね、M1は。
のべ14年間、途中5年間のブランクをはさみながら、20%近い高視聴率を継続し、年末のお楽しみとして、お茶の間を長年にぎわしています。子どもだった人が親になり、その子どもがファンになるという時間だから、すごいものです。
豪華な審査員も見どころのひとつですが、この時、この瞬間は普段、ひな壇芸人や、メディアにさえ、ほとんど出てこない芸人たちが主役です。
普段、視聴率をとれない人たちが、この日ばかりはその視聴率をもぎとっていく訳です。
通常のテレビだと、日陰に甘んじなければならない芸人たちが、この日はやったれと、これでもかというくらい自分たちの色を姿を生き様をみせつけてくれます。努力に努力を重ね、幾年物の努力の結実を4分間に凝縮して、圧倒的な緊張感の中、表現する。
これが面白くない訳ないです。
プロがここ一番をこれ以上ないくらい真剣にやってくれる訳ですから。
やっぱりお笑いって緊張と緩和だと思うんですね。
そういう意味ではこの番組、芸人としてのコンテストの敷居は最高峰に高くて、それに伴う緊張感は登場する芸人はもちろん、審査員、現地のお客さん、全てが緊張感が高くて、それをプロの漫才師が笑いへと昇華していく最高の面白さがあります。
松本人志の最後のコメントがそれを主張していますね。
「いや、なんかね、前半全体的に(空気が)重かったじゃないですか。後半みんなチームプレーみたいな感じで、漫才を盛り上げてくれてるのが……。おれ、おっさんやな。泣きそうになってるわ。ごめんなさいね」
出ている芸人、みんなライバルだけど、やろうとしていることは一緒で、最高の笑いを客席や視聴者、審査員に届けようとしていて、それが番組全体を通じて、しっかりと表現されていた。誰が優勝したかはとても大切なことですが、これこそがこの番組の凄味なんだなと実感しています。
今回、ゆにばーすはこの会場の重い空気に飲まれたのかなと思うので、そこが残念ですね。正直、去年のほうが面白かったですし、本来の実力はこんなものではないでしょう。来年に期待したいコンビですね。
次からは個別の芸人、3組についてのコメントです。
霜降り明星
新しい漫才の形をみせてもらいました。
舞台全体を使っての、劇場型のボケは迫力があり、演技力も相当です。
そしてそれをスタイリッシュにつっこみ、笑いのツボを見ている人に強烈に印象付ける。
漫才は「言葉」が大事だと思うので、このセンテンスをもっと昇華できたら、これからもっと伸びていくコンビだなと将来にも期待できます。
あとは上戸彩もそうですが、客席もすごい盛り上がりでしたね。
やっぱり直接見に行ったほうが、特に面白く感じられる芸人なんだととも感じました。
なにはともあれ、この漫才の形が今後の若手に与える影響が大きいと思うし、そうであったほうが、これからの漫才界は面白くなると思うので、ひとつのジャンルとして確立できるよう、これから大きくなっていって欲しいですね。
和牛
もう本当に面白い。
ネタの見せ方、ストーリー性はさすがの一言。
完成度がまるで違う上に、他の芸人よりハードルが高いのに、それを見事打ち破っていく見事さはプロ中のプロでしょう。
ゾンビネタの行きつく先とか、笑わずに見るなという方が無理です。
決勝戦の最後の睨み落ちとか、高度すぎる技でしょう。
あのレベルの話芸で最後そこにもっていくなんて反則です。
きっと十番勝負させたら、まず間違いなく優勝する地力があるコンビ。
三度目のシルバーコレクターだけど、あなた方が一番のプロ漫才師です。
またこの舞台で笑わせて下さい。
ミキ
どこの漫才師よりテンポがはやく、どこの漫才師より笑い出しがはやい。
今、一番お気に入りの漫才師です。
ジャニーズネタであそこまで笑いを積み重ねられる腕力に爆笑でした。
そりゃあ、『SMAP』がトレンドワードに入りますわ。
あとは弟のなんでも無茶ぶりしてもお兄ちゃんなら、受け止めてくれるという弟ならではの甘えっこぶりや、お兄ちゃんは即、切れるんだけど、弟のいうことだから、受け止めるという兄の優しさみたいなのが溢れていて、見ていて気持ちよくみれるんですね。
勝手にすごい兄弟仲もいいんだろうなと思ってますよ。
そういうのが芸に表現されているんだろうなと見えるので、とても好感がもてます。
でも、だからこそ次は斬新なネタををひっさげて決勝に戻ってきてほしい。
本当、未来が楽しみな兄弟です。
M1というコンテストは未来へつながっていく
今回、ツイッターとかブログをみていると、和牛が優勝するべきだったんじゃないのかという意見がよく散見されました。あとはジャルジャルの一本目のネタの人気もすごいですね。あれは耳に残る。あのコンビの独創性は他がマネできないですよね。独創性といえば、トム・ブラウンは衝撃的でしたね。強引に笑いを持って行かれた感じです。サンドウィッチマン富澤が「二本目見てみたいんだよな~」という発現が全てでしょう。多くの視聴者の台詞を代弁していると思います。
和牛の優勝については心情的に痛いほど共感できるのですが、M1のコンテストを自分なりに思い返したときに、新人の登竜門的役割があり、新たなスターを発掘する場でもあります。
だからこそ、優勝者の霜降り明星のコント色の強い漫才も受け入れられるべきであり、現場での客席の笑い、上戸彩が口を開いて笑っている様子が抜かれている様をみて、この笑いの形が新たな次の時代を作っていく事に対して、優勝者としてふさわしいと思っています。
クラッシックの漫才を評価するのであれば、他のコンテストで構わないのではないでしょうか。
とはいえ、優勝したからには霜降り明星の重責は重いと思います。なんといっても優勝筆頭の和牛を打ち破ってのことですし、この新しい漫才の形が一つのジャンルとして大成していくような、大きな漫才師に成長していっていってほしいです。
そのためにはもっとクラシックな漫才を、今以上に勉強していって欲しいとも本当素人ながら、勝手に思っています。やっぱり漫才は「言葉」が大事だと思うので。
そうする事により、音楽ジャンルが派生していくように、漫才という文化がより深く大きく、この先の未来に繋がっていくのではないでしょうか。一お笑いファンにとってはそうなって欲しいと思わずにはいられません。
最後に
お笑いコンテストなので、審査員や得点のされ方や、くじ順などに批判が集まるのは仕方ないことでしょう。時代とともに変えていかなければならないものもありますしね。けど、それでもこの番組が長寿番組として継続して、どこか新しい力に満ちていて、活力を失わないところをみていると、今後暫くは視聴者に感動を与え続けることができるんだろうと実感しています。
その為にはまず、芸人がちゃんとリスペクトし続けられる番組が大事なので、一視聴者としてこの番組に関わる人々の愛情ある番組作りを今後も継続して頂けることを祈っています。
最高に面白いエンターテイメントと笑いをこれからも届けて下さい。