「関ジャム 完全燃SHOW」は音楽の素人が見るこそ面白い
普段あまりテレビを見ないんですが、音楽の素人である私が必ずみるバラエティ番組があります。
その番組は「関ジャム 完全燃SHOW」です。
テレビ朝日系列で深夜帯にやっている音楽番組で、関ジャニ∞の冠番組でもあり、支配人という形で古田新太もレギュラーで参加しています。
この音楽番組の魅力はゲストと音楽についての深堀りです。
ミュージックステーションやカウントダウンTVに代表されるような音楽番組と異なり、アーティストよりも作曲家、作詞家、演奏家などの普段裏方で支えている一級品のプロの方々がゲスト出演します。そこでテーマに沿って、音楽の魅力を伝えてくれる訳です。
これが面白い。
本当に面白い。
理論と技術に裏打ちされた話をとても簡潔にしてくれますし、しかもこれ以上ないプロの方が実演してくれるので、よく私は「はぁ~」と感嘆してしまう事があります。ちょっとテレビ番組みてて、そういった気持ちになる事は他にないです。
番組も丁寧な作りになっていて、難しいことを伝えるなら簡略化するのではなく、よりかみ砕いて、場合によれば繰り返し教えてくれます。
具体的に書くと
①ゲストがスタジオで解説を行う。
②VTRで更に解説を行い、音楽と音符、歌詞も流す。
③VTR上でゲストの解説を補足、もしくはより簡潔にナレーションが読み上げる。
音楽的にはまったくの素人の自分でも今まで聞いていた曲の新しい理解が得られて楽しいですね。
そう、この番組を見ていると温故知新を感じるので、それが大きいのかもしれません。
自分の知らないことを知れる体験をわかりやすくさせてくれる機会は貴重なので。
さて、具体的に今までどういったテーマがあったか、個人的に印象に残ったものを直近のものを中心にあげていきましょう。
・だいすけお兄さんが明かす、子どもの心をつかむ歌唱法とは?
・なぜピアノは楽器の王様なのか?清塚信也が楽しく解説!
・名曲から解き明かす! 松任谷由美と3つの時代を大特集!
この中でユーミン特集はとくに記憶に新しい。
70年代、80年代、90年代以降の3つの時代にわけてユーミンの凄さを検証していくのですが、世代は違えど「卒業旅行」「春よ、来い」や曲名がわからなくても聞きなじみのある曲が本当に多い。
「ひこうき雲」が16歳作曲の曲で、影響を受けたUKのプロコム・ハルム「青い影」のコード進行の解説まで行うのは関ジャムならでは。
あとはセカンドアルバム『MISSLIM』に収録されている「海を見ていた午後」には触れなければ駄目でしょう。
まず歌詞をみて下さい。
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あなたを思い出す この店に来るたび
坂を上って きょうもひとり来てしまった
山手のドルフィンは静かなレストラン
晴れた午後には遠く三浦岬も見える
ソーダ水の中を 貨物船がとおる
小さなアワも恋のように消えていった
情景が浮かび、女性の心情に寄り添える歌詞になっていますね。
地名が明確で楽曲を聞いている人の頭の中の景色を補完している訳ですが、これ実際の地名や特定の場所と異なるようです。ドルフィンという店はあるようですけど、そこからみえる景色を楽曲に合うように名称を変更して、より歌詞の世界観にはまりこむようにしたというんだからすごいですよね。
あと、それだけではなく「ソーダ水の中を……」からの現実と心の動きがきれいで、楽曲もそれに合う分数コードというのが流れていて、小さなアワのような浮遊感ただよう曲になっていて本当によく考えて作られてるんだなと理解させられます。
これを本当に演奏をまじえながらプロの方が説明してくれるので、すごくわかりやすい番組なんです。
この番組の一番の魅力はやっぱりゲストの方々のそのプロたる姿勢にあると思います。
私はこの番組を見るまで、音楽をする人ってもっと感覚的に表現するものなのかなと漠然と思っていましたが、認識が改まりました。
確かな理論を構築するためのあくなき好奇心や分析力、血のにじむような習練の上に修得した技術があり、しかもそれを素人レベルまでかみ砕いて話せるコミュニケーション能力がある。そしてそれを演奏で何度も表現できる「再現力」その完成度に番組をみていて、私は感嘆してしまうんだと思うんです。
清塚信也、今井マサキ、寺岡呼人、いしわたり淳治、蔦谷好位置、ヒャダイン、KenKenなど本当に一級品のプロの方々が出演するので、機会があれば是非一度ご覧になって下さい。