【書評】破天荒フェニックス オンデーズ再生物語
ろぽんでございます。
僕は、「絶対に倒産する」と言われたオンデーズの社長になったというキャッチフレーズが的にはまっている、オンデーズ社長 田中修治 著作のエンターテイメントビジネス書です。
一言、面白かった。
本当に面白かった。
約500ページあるのですが、寝る間も惜しんで、あっという間に読み終えてしまいました。
池井戸作品に代表されるようなビジネス小説好きな人にとって、垂涎の一作です。
20億の売上で14億の借金のある会社を買収するところから、物語は始まるのですが、徹頭徹尾この問題が噴出して、なにをしてても資金繰りがショートし続ける。どれだけうまくいっていてもショート、ショートの嵐。でも田中社長は成長の手を緩めないので、お金がないのに投資の手をゆるめず、企業規模を広げていく。この絶妙な成長と負債のジェットコースターの展開がなんともえいない読者の快感を生み出します。
田中社長は眼鏡業界は素人ながらも、この業界の将来性を信じ、世界一を目指します。
具体的には眼鏡業界のSARAを目指し、SPA企業として群を抜いたグルーバル企業に成長させていこうと七転八倒していく訳です。
文中に「20億の売上しかないのに1.4億の負債を抱えているということは、2tトラックの荷台に1.4tの砂利が乗っかかっているようなもの」というのがあり、これが実によく出来た表現でした。
銀行からの融資は田中社長が就任した際から、不可能であり、逆に再建計画をたて、借金をまず返していかなくはなりません。自己資金で常にキャッシュをまわしていかなければならず、常に自転車操業、銀行から融資を引き出すには前経営陣が残した負債を解消しなくてはならない。
数字だけみたら無理ゲーな訳ですが、田中社長はオンデーズの人には価値があるという事を信じています。ここがまたいいんですよね。やっぱりそういう想いをもって、行動して、人間関係の中でドラマが生まれるし、読者はその場面でも強く心を動かされます。
また、田中社長と共感しない、もしくは敵対するドロドロの買収劇なんかのシーンもあって、この辺りも読みごたえありです。
常にハラハラドキドキする展開が目白押しで、とてもスリリング。よくこのテンションで生きてこれるなと思ってしまいます。
やっぱり成長産業の社長業を邁進するような人って、いい意味でまともじゃない。
そうした生き方をエンターテイメントとして追体験できる。
社会人経験者の方には是非読んでほしい、今一番の作品です。