【書評】蘇える変態
ろぽんでございます。
人気絶頂の帯に偽りなしの、アーティスト、俳優とどれも金字塔を築く、いまもっとも熱い男、星野源の書籍です。恋ダンスや朝ドラのオープニングや、あの印象的なドラえもんの映画の曲など、彼を代表する曲やドラマは増えていく一方です。
そんな星野源が2011年から2013年までに女性向けファッション誌『GINZA』に連載していた『銀河鉄道の夜』に加筆修正、追加エピソードをのせた25本のエッセイが本書となります。
ユーモアあふれる文章と音楽や演劇に対して真摯に向かい合う姿、下ネタが好きで、童貞顔なのに風俗の話もするという希代のマルチプレイヤー星野源。
単純に読み物として、面白いです。
本書において、作者は地獄を味わいます。
くも膜下出血となり、一度は治療を終え、再発。
生死の境をさまよい、目覚めてからも地獄、地獄、地獄。
痛みしか感じられない極限状態で、痛み止めに座薬をいれられながら、SMを回帰するその姿に、エンターテイナーとしての教示を感じます。
なんだろう。
普通の人だなと思えるところがあるのに、やっぱり普通の人じゃないという印象を受けます。音楽や演劇や文筆業に対しての異常なまでの執着と情熱が形づくるものが積み重なり、全部捨てずに持ってきて、人生にのっけてきた男の姿はかっこいいです。
でも見た目はゆるい感じで、話し方も柔らかくて、おまけに童貞顔でイケメンじゃないから、やっぱりどこか普通の人にみえる。そしてどこかだらしない。スキも多くて、だからこそ魅力的で、そういった人間性がしっかりとエッセイに描かれています。
星野源の魅力がいまいち理解できない人はこの本をてにとってみるといいでしょう。
星野源のたくさんの側面に魅了されること間違いなしです。