ろぽん日和

気ままに雑記ブログ

【書評】人生は運よりも、実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

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 ろぽんでございます。

 のべ数百万人に読まれたブログ「分裂勘違い君劇場」のふろむださん(id:fromdusktildawn)デビュー作です。

www.furomuda.com

 

 はじめに1974年のイケメン政治家とブサメン政治家の選挙の結果をあげ、イケメン政治家が2.5倍差をつけて圧勝した例を示しています。

 たとえば、次のようなイケメン政治家だったとします。

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 けれど投票者の直感は実はこうでした。

 

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 そしてイケメン政治家は次のように自覚しています。

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 人間の無意識が意識に働きかけて、全体の評価を書き換えてしまうようです。

 そして、これは人間の脳の仕様であって、誰にでも起こる事であるということです。

 しかも容姿に限らず、あらゆる状況に応じて、この脳のセキュリティーホールが反応してしまう。これを「思考の錯覚」と筆者は名付けています。

 その上で、「人々が自分に対して持っている、都合のいい思考の錯覚」は、一種の資産として機能する事を提示しています。それを「錯覚資産」と本書では呼んでいます。

 

 この本は徹頭徹尾この「錯覚資産」について書かれた本です。

 また、選挙の事例のような現象をハロー効果といいます。

 ひとつの属性値からすべての値が+にも-にもふれてしまう現象ですね。

 他にもたくさんの心理学的要素がからみあい、それらを認知バイアスとして、くくられています。認知バイアスとは簡単にいうと思考の偏り、勘違いや思い込みをさします。

 これは優秀な人でも起こる現象で、その傾向を科学的な研究で導き出したのが、認知バイアスです。

 錯覚資産ではこの認知バイアスを利用して、そもそも社会では実力と運では、まわりきらず、この錯覚資産を用いて、いかにして成功確率をあげ、実力が伸びる環境を手に入れるべきかが示されています。

 

 また、本書を読まれて認知バイアスについて、勉強したい方は心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマン著作「ファスト&スロー」を読まれる事をおすすめします。

 かなりの分量になるので、本を読みなれていない方には大変かもしれませんが、間違いなく名著で、本書を深く理解するにはうってつけの本です。

 

 本書についての概要は上記の通りなのですが、この本、語り口がいい意味でずるいです。あえて露悪的に書かれています。ようは印象が悪いような書き方、読者の毒をつっこみとして本書に登場するキャラクターに語らせながら、だんだんと納得させていってしまう読ませる手法をとっています。

 これはブロガーの皆さんや物書きの人たちにとって、とても参考になる手法のひとつです。心理学を勉強している筆者だけあって、そのあたりの表現の仕方が実にうまいですね。

 

 「錯覚資産」という切り口が斬新で、表現方法が非常にうまい。その上、それ程時間もかからず読めてしまえるので、是非一度ご覧になって下さい。

 人によれば人生が変わる一冊になるかもですよ??

 

今週のお題「読書の秋」