バスとおあと不運
バスを乗り間違えた。
急いでいたせいで、よく確認をしないまま、違う行き場のバスに乗ってしまっていた。
しかも間が悪い事に、乗車した事に安心して、まだ工事途中だった顔を整える為にメイクに必死だった為、気づくのに遅れた。
やばい、マジ、やばい。
約束の集合時間に間に合いそうにない。
サークルでの合宿で、新幹線のとまる乗車駅で待ち合わせになっているけど、置いて行かれてしまう。
このままでは旅先から四時間くらい一人の時間を過ごしてしまう。
北陸新幹線かがやきに乗るのに、一人暗い旅路をいくなんて嫌だ。
しかも色々と北陸をグルメにまわる予定なので、現地ではレンタカーを借りて、身軽に移動する上、富山育ちの私が案内する予定なのに。
超迷惑な奴になってしまう。
それは駄目、絶対駄目だ。
バス停の向かう場所から最寄り駅を検索して、どうにか最短ルートがないか調べないといけない。
隣の大学生風の男子が気楽そうで羨ましい。
しかし、どうして私はいつもこうなんだろう?
いつもどこか抜けていて、肝心なところで、ポカをしてしまう。
今日は深夜までの居酒屋のアルバイトを終えて、仮眠したんだけど、夜勤明けにセットした目覚ましが一個は壊れていて、予備の一個は電池が切れいていた。それだけなら、まだ少しは余裕があったんだけど、間の悪い事に住んでいるマンションに空き巣が入ったみたいで、警察の事情聴取に時間をとられてしまった。
『どもこもならん子やね』
昔、いわれた言葉が蘇る。
どうしようもない子。
そういわれたのだ。
自分が大事に思っている時に、なにか不幸がおこったり、ポカミスをしてしまったり、私の楽しみを誰かが何かの利子がわりに吸い取っている気がしてならない。
前世でなにかやらかしたんだろうか。
そういえば占いをやってみたら、守護霊がよくないとかなんとかいわれたような気がする。
高校受験の日に自転車がパンクして、徒歩で歩いてバス停に向かったら、事故がおきて遅れてしまい、急いで学校まで走っていたら、路面凍結ですべって怪我をしてしまったり。
修学旅行の日に親類に不幸があって、両親が海外旅行へ行っている最中だったので、葬式に参列しなくてはならなかったり。
友達との卒業旅行では、季節はずれの台風に巻き込まれ、南の島は陸の孤島の様になって、旅行先で避難訓練さながらに、予約したホテルにも泊まれなかった。
どんな恨みをかえばこれだけ散々な目に合うのか、神様教えてほしい。
もう本当に嫌だ。
けど、それに飲み込まれて全て嫌な思い出にはしない。
高校受験の時は怪我をしても、なんとか机まで這いずって、しがみついて、高校は受かった。
修学旅行も葬式に参列した後に、修学旅行には参加した。
卒業旅行もホテルには泊まれなかった代わりに避難場所で知り合った人と仲良くなって、その人のペンションに翌日は安く泊まれて、色々現地の人しか分からない、郷土料理なんかや観光スポットを楽しめた。
一回諦めて、もういいやって思ったら、多分そういう事にはなってない。
だから今回だって、なんとかなるし、なんとかする。
『おあ、だじゃかん』なんて絶対にいわない。
調べた結果、途中タクシーを拾ったらなんとか、間に合いそうだという事が分かった。
でもその為には次のバス停から走り、すぐ駅の改札をこえて、快速電車へと転がり込まないといけない。
私は軽く深呼吸して、バスが停まると同時に駆け出した。