バスとリーダーとサークル
バスから勢いよく飛び出していく女の子をみて、その元気のよさに震えた。
どこか必死で、なにかに食らいついていこうとする姿勢が眩しい。
自分のことを考えるとじわりとお腹が痛む。
あんな風に行動できたら、きっと違うんだろうなとは思う。
けど、そんなことができる訳がないのだ。
今、僕の所属しているバドミントンサークルは崩壊の危機にある。
もともと、サークルを立ち上げたリーダーさんがやめてから、こじれている。
みんなわがままが多くなって、新しくリーダーになった人がそれらを背負い込んでいる。
派閥かできて対立構造がうまれ、その軋轢をリーダーが中和するために、身を粉にしている。
けれど、どちらにたいしても玉虫色の対応をしてしまうリーダーは結局、ストレスのはけ口になってしまっている。
仲良くさせようと思っていたみたいだが、みんなを引っ張るリーダーシップもなく、うまくはいかない。
正直もうサークルを二つに割るしかないのに、その決断も出来ずにいる。
情けない。
本当に情けない。
そのリーダーは僕のことだ。
僕はなにも決められないでいる。
昔から、人のためになることはすきだった。
けど、なにか決めることが苦手なのだ。
なにか決めるというのはなにかを捨てるということで、それが誰かの不幸につながりそうで怖いのだ。
でも誰かが不幸になるのが嫌なら、今のサークルは一体なんなんだろう。
相手側の文句ばかりをいい、自分の要求を通そうとする。
一事が万事そんな調子だから、誰かが誰かを恨んでる。
まわまりをみて、相手をみて、自分をみて、それがとんな結果をもたらすかなんて考えもしない。
そんなことをしていてはみんな仲悪く一緒に崖に向かって落ちていくだけだ。
駅に走っている女の子の横顔がみえる。
まるでその必死の姿は怒っているようで、ふと僕は思ってしまった。
僕はきっと、叱るべきだったんだろう、と。
今更それが難しいことを知りながら、そんなことを改札を走り抜けていく女の子に思わされた。