ういろう愛好家が増えたら愉快でございます
ういろうといえばどこでしょう。
やはり名古屋の銘菓として有名でございましょう。
それとも本家本元がございます神奈川県小田原でしょうか。
いやいや、ういろうの老舗といえば山口は外せないでしょうか。
どちらのういろうも食させていただいた身としては、大変おいしくそれぞれの風土を感じられる美味でございました。
しかし、関西の身の上でございますわたくしめにおきましては、やはり神戸がはずせないところです。
米粉、砂糖、葛を使用し、一切の添加物を廃した一品でございます。
独特のもっちりとした食感と胃にもたれない優しい味はなんともいえない甘露です。
もう喜寿となりましたわたくしが幼少の頃より変わらない味を提供していただける希少なものです。
年をとればどうも物覚えが悪くなりますが、この味だけはしっかりと往年をこの老体に繋ぎとめております。
過去を思い返すものが、段々となくなっていく昨今、とても貴重な事です。
しんみりとしてしまうような事だけではなく、ただこの年になっても好きなだけなのですが。
最近、甘いものを控えるよう、娘がうるさいので、あまり食べられていないのが、不満でございます。
とはいえ、洋菓子とは異なり、体に不純なものが含まれている訳ではございませんので、まだ娘の制止はましな方でしょう。
わたしくが買って帰ると、人一倍食べますのに、いけずなことです。
母子二代に渡りういろうが好きなのでございますが、今は孫も取り込む所存です。
そうやって愛好家を作って、次代に自身の好きなものを残していきとうございます。
やはり自分の好きなものが明るい未来を期待できれば、嬉しいものです。
なかなか最近の若い方は食べられる機会もない事かと存じます。
その際は一度、できたてのういろうを一つ食べてみてください。
これが本当に美味でございますゆえ。
皆様も騙されたと思って一度ご賞味下さいませ。