バスシリーズ
優先座席へ腰掛ける儂の横には女子高生がいた。 紺のセーラー服を着崩さずにきっちりと着込んでいるところに好感をもてる。 あまり不躾にみるわけにもいかず、バスの外に目をやる。 ペットタウンの合間に大型小売店が足ち並び、少し先にいったところにはショ…
バスから勢いよく飛び出していく女の子をみて、その元気のよさに震えた。 どこか必死で、なにかに食らいついていこうとする姿勢が眩しい。 自分のことを考えるとじわりとお腹が痛む。 あんな風に行動できたら、きっと違うんだろうなとは思う。 けど、そんな…
バスを乗り間違えた。 急いでいたせいで、よく確認をしないまま、違う行き場のバスに乗ってしまっていた。 しかも間が悪い事に、乗車した事に安心して、まだ工事途中だった顔を整える為にメイクに必死だった為、気づくのに遅れた。 やばい、マジ、やばい。 …
里帰りの事を考えていた。 今年の年末年始に実家に帰省するのだが、どうだろう? 先延ばしに出来ないだろうか。 親がうるさいのでそれは許されないよなーと思う。 多分、戻らないと生活費振り込まれなくなりそうなのが、怖いので、無理だ。 夏休みの時はなん…
35歳になった。 子どもを二人授かって、長男は小学校高学年となり、体も大きくなって、もう体力的にはかなわない。長女はまだ小学校低学年だが、親のアタシがいうのもなんだが、利発な子でこちらのほうがバカみたいに思えるときがある。 一番手のかかる時…
小学校の同窓会が開かれる事になった。 運よく、もしくは運悪く里帰りしている時に、偶然にも二十年ぶりくらいに再会した同級生に捕まって、人付き合いを出来る限り避ける傾向がある私を矯正する為に、妻が連絡先交換を半ば強引にすすめ、今回、参加する事に…
俺様はバスが嫌いだ。 狭いしきゅうくつだし、その上揺れるし、頻繁に停まって扉を開け、風も冷たい。 いい事がないのである。 若い女がまどろんでいるが、ぜひその柔らかな膝の上を堪能したい。 うーん、気持ちいいんだろうな。 だけど、今、そんな事はでき…
うとうとする。 電車が揺れるたびにあくびがでる。 多分、寝ると起きれない。 隣の席の男の子も疲れた表情をしていて、世の中、うちと同じ様に元気がない。 バイトの連勤が続いていて、さっき深夜、朝、夕方までの勤務をおえたばかりなので、仕方ないんだけ…
バスが坂を下っていくにつれ、横揺れも大きくなっていく。 それはまるでおれっちの心を現しているみたいだった。 おれっちは大事なものを失くしてしまった。 物心つく前から使っていたもので、未だに愛用していたものだった。 おれっちになんの断りもなく、…
バスの中に、小さな女の子が腰掛けている。 反応がいちいちかわいくて、マフラーの中で口角が自然とゆるむ。 一緒にいるお母さんは女の子がなにかいうたびに、過敏に反応している様にみえる。 少しやつれてもいるようで、小さな子どもを持つ親がこの季節、倒…
あたたかいのはすき。 さむいのはきらい。 だから、バスはすき。 おかあさんのヨコにすわってる。 おはなししようとおもったら、おこられた。 やなかんじ。 まえでそとをみたい。 けど、おばあちゃんがじゃまでみえない。 まどをさわるとジーンとしてつめた…
先程、乗合バスに乗車した若い男子はあたくしの前に寄りかかるように座りました。 みるからに体調不良の様子で、乗車時にみせた顔色は青白く、停留所までくるのにも一苦労だったのでしょう。 大学生程の年齢と見受けられまして、彼が地方からきた男子だと想…
ぼーっとした頭で視線を彷徨わせると、ちょっと好みな年上のお姉さんがいた。 バスが揺れても、すました顔は変わらず、世の中の全ての出来事については私と関係ありませんといった様な風貌だった。 仕事ができそうだけど、笑うと幼くみえそうな感じがして、…
顔色の悪い太った学生がふーふーいいながら、肩を上下させている。 バスの中で酔ったのだろうか。 それともあまりにも腹の立つ事があって内心を隠せずにいるのだろうか。 ちなみにウチは今どういう顔をしているのだろう。 どっと疲れた顔をしているのか、能…
バスの広告にある文字を追って視線を横にずらしていく。 ブログを更新する身の上で見出しやキャッチーな言葉というのを日々勉強せねばならない。 一巡すると、視界の隅にうつるイケメンの横顔が気になった。 長いまつ毛がふせられ、憂いを含んだように、そっ…
ラインを未読スルーして、バスの中で、オレはため息をつく。 スマホごしにいるお爺さんには気づかれない程度に。 大学の文化祭で知り合った女子のグループの一人からの連絡だ。 知り合って一週間ほどになるのだが、ひっきりなしに連絡がきてヤバイ。 ことあ…
がたんっと揺れて、隣に立っている吊革に捕まった年配のおじさんの肩に触れないように少し身をよじる。 ゆっくりと流れるように見慣れ始めたバスの風景が過ぎ去っていく。 バスのガラスにうっすらと写るのは冴えない表情をした新調したばかりの高校の制服に…
バスの揺れが手すりから伝わり、よろけないよう少し力を入れる。 あがりづらくなった肩を意識して、視界が少し下にうつり、酒の臭いのする男をみる。 年の割りには、ラフなかっこうをした男でこの時間から酒が飲める仕事としたら、自分のようなサラリーマン…
久しぶりのバスに乗ったわけだが、イライラする。 ベットタウンをちんたらと走るこのスピードにうんざりだ。 丘をぐんぐん降って行くロードバイクに負けるなよといいたい。 俺は早く家につきたいんだ。 さっき軽く缶ビールを一杯飲んだけど、下らないテレビ…
先頭座席に座る息子がふらふらと危なっかしい。 ゆらゆらと揺れるバスの中で、彼が落ちやしないかと注意しなくてはならない。 バスの先頭座席は少し高くなっていて、子どもにとっては窓ガラスも大きくて、見通しがよく、まるでロボットのコクピットの中の様…
よく揺れるバスに揺られながら、朝晩の通勤に日々揺られている。 グルグル視界が回るほどではないけど、多少胃の中はグルグルして、気持ち悪くなって喉がグルグルするので唾を飲み込む。 子どものころから乗り物酔いしやすい性質で、あの頃は車に乗るたびに…